ボーダーレス化が加速する物流業。次世代統合経営管理システムのデータ分析基盤構築を支援
インタビュアー「最近のAnalytics市場についてお伺いします。市場ではクラウド化されたAnalyticsが活気があると聞いておりますが」
担当コンサルタント「デジタルトランスフォーメーション(DX)元年と言われて久しいですが、DXの肝が、“データを集め活用し、新たな価値を生み出す”仕組みづくりです。その意味では、ここ数年、このような案件が増えているので、クライアントが本気でDXに取り組んでいると感じています。その中で、クラウドBIを利用する案件も増えています。やはり、新型コロナ感染症の影響もあると思います。テレワークが推奨される今。クラウドであれば、いつでもどこでも業務を遂行することができますので、今後もこの流れは変わらないでしょう」
インタビュアー「SAPのクラウドBIはSAP Analytics Cloudですが、その導入も増えていますね」
担当コンサルタント「その通りです、昨年から弊社にSAP Analytics Cloudに関するお問い合わせが増加していますし、私たちが実際に手掛けたプロジェクトでも、SAP Analytics Cloudの開発案件の事例が増えています」
インタビュアー「是非ともその事例をご紹介いただけますか」
担当コンサルタント「その一つとして、物流業の次世代統合経営管理システムの構築で、SAP Analytics Cloudをデータ分析基盤として構築をした事例をお話しします」
インタビュアー「どのようなお客様ですか?」
担当コンサルタント「重量物の国際物流を強みとしている物流業のお客様です。国内メーカーだけではなく海外メーカーなどから3PL(サードパーティー・ロジスティクス)を受け持つなど、グローバルかつ大規模にビジネスを展開されております」
きっかけは、ERPの保守期限切れ。DXを視野に全社データ活用を目指す次世代ERPへ
インタビュアー「どのようなビジネス課題をお持ちでしたか?」
担当コンサルタント「きっかけは、現状利用している個別最適化された会計システムの保守期限が切れることが発端でした。保守運用費用の増大や、増大化したデータにより夜間バッチ処理能力が追いつかず決算処理のタイムラグが発生するなどコスト面、業務面への影響が経営課題となっておりました。業務でデータ分析も行っていましたが、個別最適化されたシステムということもあり、データが分散されており、現場からデータ活用したいができいない状況も課題として上がっておりました」
インタビュアー「今回、全社規模の経営管理基盤の刷新というビッグプロジェクトですが、グランバレイが担当した範囲はどこまででしょうか?」
担当コンサルタント「私たちは、今回導入される次世代統合経営管理システムの可視化部分であるアナリティクスツールの導入と開発を受け持ちました。事前の要件定義、SAP Analytics Cloudの実装、オンプレミス上のSAP S/4HANAからクラウドベースのSAP Analytics Cloudへの接続、経営層や各部門に提供するダッシュボードの開発まですべて弊社で実施いたしました。今回、既存業務で使われている定型の業務帳票は、SAP S/4HANAで受け持ち、ビジュアル化したダッシュボードや比較分析が従業員自身で行う部分は、SAP Analytics Cloudでの対応となっております」
SAP S/4HANAとSAP Analytics Cloudを連携するメリット
インタビュアー「SAP S/4HANAとSAP Analytics Cloudとの連携をすることによるメリットとは?」
担当コンサルタント「最大のメリットは、同一メーカーであるため、SAP S/4HANAとのシステム連携が容易であることだと思います。
SAP S/4HANAでは、SAP HANAの特徴を生かし、OLTPとOLAPを1つのプラットフォームで実現でき、インメモリーテクノロジーを利用した、高速でシンプルなシステム構成を組むことが可能となります
BIツールをSAP Analytics Cloudを選択することで、このメリットが最大限利用することができます。
もちろん、他社のBIツールでもSAP S/4HANAを接続することは可能ですが、BIメーカーで接続するためのコネクターが用意されていることが少ないため、別途他社の接続ツールを使うこととなり、システム構成も複雑化し、コストアップの原因にもなります。
その点、SAP では、これらのコネクターが事前に用意されていることもあり、安全かつ正確にそしてシンプルに連携を図ることができます」
クラウドBIだからできないことも。だからこそ経験が生きる
インタビュアー「このプロジェクトでの苦労した点や工夫した点を教えてください」
担当コンサルタント「SAP Analytics CloudはSaaS形式のBIツールのため、標準機能でできる範囲が限定されている点です。
SAP Analytics Cloudはクラウド製品だからこそ常に進化し続けており、最新の機能を使うことができることがメリットですが、しかしながら、SAP Analytics Cloudは、他のBI製品と比べて実装されていない機能があり、クライアントの要求を満たすために苦労をしました。今回は、他の機能を組み合わせたり、プロセスを変えたりするなどを行うことで要件を満たしましたが、一重に、長年 SAP Analytics製品の導入ノウハウがあったからこそ、これらの課題が解決できたと感じております。」
インタビュアー「グランバレイがお客様に提供できた付加価値とはなんでしょう?」
担当コンサルタント「私たちは、SAPの基幹システムのデータを使った仕組み作り、経営分析基盤の構築に強みを持っていますが、今回その強みが活かされています。
S/4HANAを中心として基幹システムとクラウドBIと組む合わせることで、タイムリーに次のアクションにつながる経営情報の収集と活用ができるようになりました。その一つとして、今まで表形式のみの経営層への報告が、SAP Analytics Cloudによりビジュアル化されたことで、経営層への理解度が高まり、経営判断が確実に早くなりました。
さらには、一元化されたデータを共有することで、現場側でもセルフサービスで業務に関する分析が自由にできることで、業務課題の解決が早まっており、生産性が高まりつつあるとの報告も受けています。」
「ERPとBIの知見を持つスペシャリストに依頼すること」手堅く確実に導入するための最適解
インタビュアー「最後に、SAP Analytics CloudなどクラウドBIの導入を検討している企業に一言お願いします」
担当コンサルタント「クラウドBIツールは、コストが安く導入しやすいのがメリットです。ExcelやCSV等のファイルのアップロードやクラウド同士の接続が非常にしやすいのも人気の一つです。しかしながら、今回のような全社規模、特にERPのデータを活用したデータ分析基盤の一つとしてクラウドBIを考えた場合、システム連携の部分で苦労します。
そのため、ERPなど業務システムとの連携を手堅く確実に行うのであれば、私たちのようにERP側とSAP Analytics Cloud側の専門知識を持つスペシャリストにご依頼いただくことをお勧めします」
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