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予測分析で意思決定を加速化。自動機械学習「Qlik AutoML」とは

公開日 2025年3月21日    最終更新日 2025年3月21日

Qlik AutoMLはご存知でしょうか?

Qlik AutoMLは、Qlik社が提供する自動機械学習(Automated Machine Learning)のプラットフォームで、分析チームやデータを利用するユーザーが、複雑なコードを書くことなく機械学習モデルを作成し、予測やビジネスシナリオをテストできるツールです。本機能は、データ統合と分析を一元化したクラウドである「Qlik Cloud」に統合され、過去のデータを活用して将来のトレンドや結果を予測するための機械学習モデルを簡単に構築できるように設計されています。特に、データサイエンスの専門知識がなくても使える「ノーコード」環境が特徴で、ビジネスアナリストや意思決定者が直感的に操作できる点を重視しています。

2022年に公開されたQlik AutoML。グランバレイでもBLOG記事と紹介しております。

▶ Qlik AutoML – 機械学習のパワーを意思決定に活かす

すでに発表から3年を経過しており、機能強化されているQlik AutoMLを改めて特徴と活用方法についてご紹介します。

Qlik AutoMLの主な特徴とは

ここでは、Qlik AutoMLについての特徴を見てみましょう。

容易なモデル作成

・データセットをアップロードし、予測したい目標(ターゲット)を選択するだけで、Qlik AutoMLが自動的に複数の機械学習モデルを生成し、最適なものを提案します。
・複雑なプログラミングやアルゴリズムの知識が不要です。

結果を担保する予測と説明可能性

・将来の予測を行うだけでなく、SHAP値などの手法を使って、予測に至った理由や影響を与える主要な要因を明確に示します。これにより、結果の透明性が確保され、信頼性が高まります。

What-If」シナリオの検証

・変数を調整して「もしこうだったらどうなるか」をリアルタイムでシミュレーションできます。これにより、ビジネス戦略の立案や意思決定に役立つ洞察を得られます。

Qlik Senseで将来の予測を可視化

・生成したモデルや予測結果をセルフサービスアナリティクス(BI)ツール「Qlik Sense」に直接統合し、インタラクティブなダッシュボードを通じて可視化。さらに深い分析が可能となり新たな気づきを得られます。

機械学習モデルの開発や運用を効率化する「MLOps」機能

・モデルの管理やスケーリング、MLOpsによる運用・保守をサポートし、本番環境での利用にも適しています。

Qlik AutoMLの活用事例

Qlik AutoMLは、どのような時に役立つでしょうか。主に次の3つの目的に使われています。

売上予測: 過去の売上データから将来のトレンドを予測
顧客分析: 顧客の離脱リスクや生涯価値を把握
運用効率化: 在庫管理やリソース配分の最適化

ここでは、いくつか具体的なユースケースや企業での活用例を紹介します。Qlik AutoMLは、予測分析をビジネスに取り入れるための強力なツールとして、多くの業界で利用されています。以下に代表的な事例を挙げてみます。

1. 教育機関での学生離脱予測

事例概要: 英国のOmetis社は、Qlik AutoMLを用いて学生の離脱リスクを予測するモデルを構築しました。

内容: 過去の学生データを活用し、現在の学生の中でコースを途中で辞める可能性が高い生徒を特定し、Qlik Senseと連携して予測結果を可視化し、さらに「What-If」分析を通じて介入策の効果をシミュレーションしました。

成果: 教育機関が早期に支援策を講じることで、学生の定着率向上に貢献しました。

2. 小売業での売上予測と在庫最適化

事例概要: Domino’s Pizza社は、Qlikのソリューションを活用してリアルタイムデータ分析を行い、Qlik AutoMLで予測機能を強化しました。

内容: 過去の売上データをもとに、店舗ごとの将来の売上を予測し、在庫管理を最適化を実現。SHAP値を使って売上に影響を与える主要因(例: 天候、曜日、キャンペーン)を特定することが可能になる。

成果: 効率的な在庫管理により廃棄コストが大幅に削減され、顧客サービス向上と売上増加を実現しました。

3. 金融業での顧客離脱防止

事例概要: Atlas Finance社は、Qlik AutoMLで顧客離脱リスクを予測します。

内容: 顧客の取引履歴や行動データを分析し、離脱可能性が高い顧客を特定し、リアルタイム予測をQlik Senseのダッシュボードに統合することで、管理者が迅速に対応できるようにしました。

成果: 離脱数を大幅に削減し、顧客満足を高める結果に結びつける。

4. 製造業でのプロセス最適化

事例概要: Pomerol Partners社は、Qlik AutoMLを使い、製造プロセスのリアルタイム最適化を実現。

内容: 過去の製造データを用いて、廃棄物を削減するための予測モデルを構築。リアルタイム予測により、製造開始時にプロセスを最適化した。

成果: 従来の事後分析から事前最適化に移行し、製造プロセスの効率性が向上しました。

共通するポイント

コード不要

どの事例でも、データサイエンスの専門知識がないビジネスユーザーでもモデル構築が可能となっている点です。誰でも容易にモデルを作ることができています。

Qlik Senseで可視化

多くのユーザーが、Qlik Senseを使い、予測結果を視覚化しています。可視化することで、ビジネスユーザーが直感的に将来を予測でき、それを元に新たな意思決定に結びつけています。

リアルタイム性と柔軟性

多くの企業が、データ統合と分析を一元化したクラウドである「Qlik Cloud」を利用しており、これらによりデータが即時に取得、集計・分析され、リアルタイム予測や多様なシナリオテストにより、意思決定の精度を高めています。

Qlik AutoMLの流れ

Qlik AutoMLを利用する際のおおまかな流れを見てみましょう。
Qlik AutoMLの流れ

1) データ接続: CSVやデータウェアハウスなど、さまざまなソースからデータをインポートします
2) ターゲット設定: 予測したい項目(例: 売上、顧客離脱など)を指定します
3) モデル生成: Qlik AutoMLが自動でデータを前処理し、複数のアルゴリズムを試して最適なモデルを選定します
4) 成果を予測する: モデルを適用して、将来を見据えた予測を生成します。
5) 推進要因を探索する: 予測に影響を与える要因について深い洞察を得ます。
6) 行動を起こす: 予測的インサイトを根拠にして、情報に基づいた意思決定を行い、戦略を立案、実行します。

まとめ

Qlik AutoMLを使う際に、いくつか懸念点を理解しておく必要があります。
「データ品質」に依存します。これはAIや機械学習を利用するツールでは当たり前のことであり、AutoMLも同様と言えます。AutoMLは、データの前処理を自動化しますが、入力データの質が悪いと結果も不正確になってしまいます。
次に、「ブラックボックス感」です。AIの説明可能性はあるものの、アルゴリズムの細かい調整が難しいため、データサイエンティストの視点では柔軟性が欠けると言えます。

このような懸念点を考慮しても、Qlik AutoMLはビジネスの意思決定に高い効果をもたらします。Qlik AutoMLは、既存のQlik Cloudユーザーであれば管理コンソールから有効化できます。チュートリアルも豊富で、初心者でもステップごとのガイダンスが受けられますので、未活用の方は、一度使っていただきその効果を確かめたらどうでしょうか?

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