動作が遅い。融通が利かない。時間がとってもかかる。そんなツールに出会ったとき、ユーザーはそれを自分の仕事に活かすための有効な手段だと感じるでしょうか?ほんの数年前まで、ビジネスインテリジェンスにはそのような選択しかありませんでしたが、今ここにきて新たな道が拓けてきました。ユーザーは今まで通りIT部門が運用する従来型EntepriseBIを使う道を行くこともできれば、自らの裁量で扱えるモダンBIの道を行くこともできます。どちらの道に進むべきかを決める前に、従来型EntepriseBIとセルフサービスBIのそれぞれ考慮すべき利点と欠点を見てみましょう。
従来型EntepriseBIはソリューションになりうるか?
まずは従来型EntepriseBIから見ていきましょう。こういった管理下環境のBIが存在しているのにも、いくつか理由があります。その一つとして、データの妥当性担保のしやすさが挙げられます。データとBIツールを管理できるということは、そこから生み出される結果の妥当性についても管理することができるといえるでしょう。しっかりと運用しているIT部門にとって、データがどれだけしっかりとした管理下のもとに用意、保管され、その安全が担保されているかは大きな関心ごととなります。IT部門はこうしたデータの妥当性を背景に、拡張性に優れ、かつ標準化されたセルフサービスレポーティング提供システムを構築し、ユーザーの抱くビジネス上の課題に対して答えを導くことができます。しかし、当然ながらIT部門が他のプロジェクトなどで忙しい場合や、ビッグデータなどの大容量データを扱う、あるいは処理すべきデータの増加量がIT部門の持つリソースを超えるような事態に陥ったとき、自分たちが欲しいレポートが完成するまでに時間を要することになります。
セルフサービスBIはどうか?
それではセルフサービスBIはどうでしょうか?
現在では、使いやすさと手ごろな価格を背景に、ユーザーが直接扱えることをウリにしたBIツールが数多く登場しています。セルフサービスBIは、ユーザー自身がさまざまなソースからのデータを同時に扱って分析を行い、そこから洞察を得て素早い意思決定をすることを可能にした立役者だといえます。こういったBIは大抵直観的かつ対話的で(そうでない製品は市場から消える傾向にあります)、ユーザーにIT部門の管理を超えたデータ探索を可能にさせます。
両方ではどうだろう?
ここまで両者の利点と欠点を見てきましたが、恐らく従来型EntepriseBIとセルフサービスBIを二者択一のものとして扱うことは現実的ではありません。例え現在のBIとして主流でなくても、コンプライアンスレポートや毎日のビジネス状況をまとめたダッシュボードなど、従来型EntepriseBIが提供する機能はまだまだ需要があります。これらの機能は、一度構築してしまえばほとんど保守の手間がかからないことも利点といえるでしょう。また、従来型EntepriseBIは、過去に起きたことや、今現在起きていることを知りたいときにも重要な役割を果たしています。一方で、未来に関する予測、特に「もしこうだったら」といったたぐいの疑問に関してユーザーは従来型EntepriseBIよりも細かいレベルで、かつ素早いレスポンスであることを期待しています。そのような場合には、セルフサービスBIが威力を発揮します。
二つの選択肢を理解する
ある偉人は、「分かれ道に来たならば、迷うことなく自分が思うほうへとにかく進め!」と言いました。立ち止まって迷うよりも、とにかく実際に決断して進んだ方が良いという意味です。では、どのように分かれ道を進むのか、つまりはどのように従来型Enterprise BIとセルフサービスBIの間で決断をして進んでいけば良いのでしょうか?
これにはいくつかの要素を考える必要があります。適切なセルフサービスBIの使用事例は要素の一つでしょう。また、ユーザーがどれだけBIのことを理解しているのかも重要な要素となります。データの管理とBIシステムの共有性についても同様に議論の余地があるでしょう。これらの要素について一つひとつ見ていきましょう。
あなたに合った使用事例はありましたか?
セルフサービスBIにおける需要の大半は、早急に結果を知りたいという場合です。以下のようなものが例として挙げられます。
- 小売企業がどの商品を特別販売すべきなのか、毎日のオンライン広告をどのように展開すべきかといった情報をその日のうちに手に入れたい場合
- ピザチェーンを経営する企業が新商品を作るにあたり、テスト市場の動向を素早く探って人気のなさそうな試作品をいち早く排除するための「早期失敗分析」を行う場合
- 建設企業が、下請け業者が提出したスプレッドシートのデータを統合して、コストの上昇や遅延の兆候といったスケジュールに対するリスクをいち早く検出したい場合
BIに対してどれくらいの理解が必要か?
もしも、あるBI製品が高度なデータサイエンス知識やBIへの深い理解を必要とした場合、そのBI製品はセルフサービス型とはいえません。一方で、もしそのツールが直観的に扱えて、ユーザーが高度な技術的知識を必要とせず、ユーザー自身がビジネスに意識を集中できるのであれば、エンドユーザーは開発者、データ専門家、IT部門といった専門職の人間に関与せず分析することができます。
セルフサービス化とデータガバナンスを両立するには?
セルフサービスBIは、結果の明確さや妥当性をおろそかにはできません。データソースを直接使用できるBIツールならば、これらの問題を回避することができます。この場合、異なるユーザーが同じツールを使い同じデータソースを引用するため、同じ結果を参照することができます。その結果の解釈に関して議論の余地は残るでしょうが、データソースの同一性や、そこから生まれた一貫性のある結果そのものに対しての妥当性は担保されるといえます。
ハードとソフト、完全に分ける必要があるのか
コストはどの企業も重要な要素でしょう。以前はハードウェアとソフトウェアで別々にコストをかけざるを得なかったかもしれませんが、昨今は事情が変わってきています。旧来の組立ラインやレガシーシステムに代わり、IT部門の高度技術者だけでなく、エンドユーザーも満足させるようなシングルスタックBIアプローチという手法があります。まさに、「分かれ道に来たならば、迷うことなくとにかく進め!」。今は分かれ道を迷うことなく進むための手段が用意されているといえるでしょう。
未来のビジネスインテリジェンスは、セルフサービス化は必須
例えば従来型EntepriseBIとセルフサービスBIが共存できるといっても、増え続けるデータ活用需要とデータボリュームを考えたときに、BI活用においてエンドユーザーが担う役割はますます増えていくでしょう。優れたセルフサービスBIを利用することにより、ユーザーは技術的な環境を構築することも、高度な技術を持つITスタッフの力を借りることもなく、自らのビジネス上の課題に集中し、データから優れた洞察を得ることができるでしょう。
本記事は、Sisense社の許諾のもと弊社独自で記事化しました。
https://www.sisense.com/blog/traditional-vs-self-service-bi-whats-difference/
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