毎年予算決定の時期が来るたびに、同じ課題が繰り返されます。それは、「自社の持つデータに対して、どのような投資をしていくべきか」という問いです。散在した大量のデータをまとめ上げることは、企業が直面する最大の経営課題の一つである一方で、意外に後回しにされがちな問題でもあります。
巨大に成長していくデータをほうっておくと、分析作業にリソースが増大になるなどさらに複雑化した経営課題になります。加えて、企業が新たに集めるデータの量は猛スピードで増加しており、過去2年間で生み出されたデータ量は、地球の人口より多いとされるほどです。このようにデータであふれかえる状況を迎えても、多くの企業は自社が持つデータから有効な情報を引き出せていません。また、できたとしてもその分析速度は理想とは程遠いのが現状です。収集された全てのデータのうち、実際に有効な分析へ活用されているのはおよそ0.5%程度とも言われています。
ここでの問題はすなわち、「多くの企業はデータを集めてはいるが、それを分析するために適したBIに対する投資を後回しにしがちである」ことです。では、なぜこのような問題が起きるのでしょうか?
大抵の場合、BIに対する予算化がうまくできないからです。
今回、Sisense社とVentureBeatとで協力し、データ課題に直面する企業に対して新たな波を起こすべく、企業予算にBIを組み込むためのガイドラインを作成しましたので、ぜひともご参考にしてください。
BIを導入すべきタイミングを測る4つのサイン
「あと少しの期間ならBI無しでもなんとかなるのか?」「今年こそBIを導入すべき年なのか?」「別の年に延期しても大丈夫でなのか?」これらの問いかけは、BIへの投資を考えている企業から話をよく聞きます。現状を見ると、BIツールの必要性が顕著となっている時期だと考えます。そこで、BIへの投資を確立する上で企業が見るべき指標をご紹介します。
BIを導入するべき4つの危険サイン
- データの集計は多くの時間を掛けてExcelにて手作業で行っている
- 複数データソースからのデータの取得、結合が難しい
- 知見を得られるようなデータに辿り着いて活用することができない
- リアルタイムでデータを可視化する必要がある
昨今、BI無しで自らの持つデータを理解し、競争の優位性を確保するほどに洗練された企業はごく少数です。大量に散らばったバラバラのデータをガリガリとExcelで分析するのはやめるべき時期です。なぜなら、データは常に企業のパフォーマンスをしっかりと見定めるための大事な指標として存在しているからです。
予算を獲得できるBIプロジェクトとは
先立ってプロジェクトのニーズを検証する時間を掛ければ掛けるほど、後からプロジェクトの予算が下りてきたときに無駄にする時間が減ります。
よく直面する疑問としては以下のようなものが挙げられるでしょう。
- そのプロジェクトはどのくらいの速さで完遂できるのか?
- BIとダッシュボードへのアクセス規模は全ての部署を想定しているのか?
- 顧客も作成したレポートを閲覧できるようにするのか?
プロジェクトの幅はあなたが考えたニーズを反映し、それが予算獲得への助けとなるでしょう。
プロジェクトの展開を決定する
BIの展開方法、また従業員や企業との関わり方には様々なアプローチが存在し、選択肢によってかかるコストや求められるサービスが異なります。あなたの所属する企業が取りたい方針を特定し、それに基づいてBIベンダーのリストを作成しましょう。
ここでは、BI展開におけるいくつかの選択肢を紹介します。
- 段階的アプローチ:部署ごとにBIを導入していき、最終的に全社でのアクセスを目指す方法。場合により顧客にまでアクセス範囲を伸ばすこともある
- 全社導入アプローチ:企業がBI導入を強く望んでおり、始めから全社を対象に導入する方法
- 経営層ダッシュボード:経営層(C-level)に対するリアルタイムかつ大枠での企業パフォーマンスを見せるダッシュボードを提供する方法
- OEM、組み込み型アプローチ:既に導入されている社内システムにBI機能を組み込み、機能を拡張させる方法
現在と未来のニーズを考慮する
現在のものだけでなく未来も含めて自社のニーズを全て達成できるよう、BIプロジェクトの視野を広く持つことはとても重要です。プロジェクトの視野を広げることによって、BIを「適用」できるビジネス課題が増えます。
持つべき視点としては以下のようにものが挙げられます。
- データのサイズ、データの複雑性、ソースの数
- 同時に運用する想定人数
- ライセンス数
- ソフトウェア操作の熟練度
拡張性と柔軟性がソフトウェアのライフサイクルを決めます。始めに考慮するプロジェクトの範囲が狭い場合、データサイズやデータ量の増大、企業の需要変化によって、せっかくBIを導入しても活躍するのがほんの数年(下手をすれば数か月)という事態にもなりかねません。まずは、3年後にどれくらいのデータ量を保有するのかを考えるところから始めてください。その際に、ソフトウェアの拡張性があるかも考えてください。
提示金額だけで比較をしない
重要なこととして覚えておきたいのは、BIを導入しようとするときに、提示されている価格が、すべてではないことです(ここで指しているのは、一般的に総所有コスト”TCO”と呼ばれるものです)。今日の多くのBIツールはデータに対するプレゼンテーションやストーリー、クエリ、可視化などの機能を持っていますが、一つでなんでもできるというものではありません。驚くほど綺麗なビジュアルレポートを見せることと、データが複雑であった場合にその正確性と信頼性を保持することは全く別の要素です。この場合、データを整理するために追加のデータ変換やETLツールが重要になり、より複雑性が重大な場合はデータウェアハウスも必要になってきます。そのため、提示金額だけではなく、BIツール以外で必要な機能がないかをきちっと把握し、足りなければそれの機能の費用も追加するべきです。
BI導入時の隠れたコストに注意
では、BIの導入にかかる総費用が一体いくらでしょうか?
総費用を算出するには、ソフトウェアのライセンス料はもちろんのこと、保守費用やハードウェアコスト、サービス費用も考慮する必要があります。理想的には、選択したBIベンダーが、実装が容易かつ、業務ユーザーと技術ユーザーがともに使えるセルフサービスBI機能を持つBIを選ぶことをお勧めします。このようなBIベンダーの製品であれば導入したあとでも追加でかかる費用を最小限に抑えられます。なお、ライセンス料の安い製品を売りきるだけのBIベンダーの製品を導入すると、そのあとに続くインストール、設定、手数料、テスト、運用などコストを後で要求することもあるため、結果、費用が膨らむことがありますので、選定をする際にはこの点を配慮してください。
また、BIを導入しないことによって生じる隠れたコストも存在します。例えば、新たな知見を見逃す、意思決定の遅れ、無駄な労力、そして機会損失などです。
つまり、BI未導入でビジネスを進めることは、「フライパンの中が熱いから飛び出したが、その先は火の中だった」ものと同じです。
ここでは、BI導入と運用にかかるコストを明確にするために、チェックリストを用意しました。
- 追加でインフラは必要か?必要だとすれば、どのくらいの負担となるのか?
- ニーズを満たすために、BIソフトウェアに精通したコンサルタントを雇う必要があるか?
- ソフトウェアの保守要員や非技術者への指導要員として新たな人員を雇う必要があるか?
- ベンダーのサポート料や保守料がいくらか?
- ソフトウェアを使いこなすため、エンドユーザーへの教育は必要か?必要だとすれば、どのくらいのコスト負担と期間が必要なのか?
- BIが稼働する際に、既に他の利益的な業務プロセスを変更する必要性があるのか?
BIのコストを測るときは、分析そのものにかかるコストも考慮に入れてください。このコストは、新たに導入したBIを使ってどれだけ速く新たな分析を行い、新しい知見を得てレポートを作成するかに依存します。例えば、BIを変更するのに毎回1か月かかるようなBIソフトウェアを使用する場合、機会損失やユーザーの満足度という点でいえば、簡素でも変更に1日のみを要する製品に比べて、はるかに前者は高価といえます。
クラウド型BIのメリット
BIツールの選択肢としては、クラウド型BIも視野に入ります。このクラウド型BIは、総価格の面でメリットがありますので、導入したいBIツールがオンプレミスだけではなく、クラウド型BIも用意されているかを確認してください。
以下は、クラウド型BIのメリットです。
- 自社でサーバーを用意する必要がない
- 注文、インストール、実装等の期間など使用開始までのリードタイムが短い
- システム保守はベンダーで行うため、BIを運用するために新たな従業員を用意する必要がない
- 利用料の中にサポート、保守、アップグレード料が含まれる
- 必要な分のみに課金すればよいため、無駄なコストが発生しない
この投稿に記載されているすべてのデータは情報提供のみを目的としており、正確ではありません。前もってご了承ください。
本記事は、Sisense社の許諾のもと弊社独自で記事化しました。
https://www.sisense.com/blog/make-business-intelligence-software-fit-your-budget/
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