ホスピタリティ業界で働いて、私がすぐに学んだことは、成功と失敗はとても密接な関係にあるということです。例えば、ホテルの予約の際のリードコンバージョン率は30~40%が一般的です。この数値が下がったとき、なぜ予約率が低くなったのかを明らかにする必要があります。私が営業とマーケティング部門で約15年間働いて、データについて気づいたことは、失注は決してネガティブな結果ではなく、より大きな価値を引き出すための学習機会であるということです。
この考え方は一般的に見ると違和感をもたれるかもしれませんが、失注から得たデータもセールスファネルとバリューチェーンで活用することができます。方法は二種類あり、一つ目は失注の一つ一つに目を向けていくことです。私たちは、予約係が改善できる箇所を探すために、お客様からの電話の録音を確認しています。このように、個々の点に目を向けていくことは、パフォーマンスを改善していくために最も有益なものとなります。しかし、それだけではより大きな結果を得ることはできません。そこでもう一つの方法が、流行に目を向けることです。これによって、販売範囲の拡大につながる貴重なデータを手に入れることができるだけでなく、売上とコンバージョン率を向上させることが可能となります。
失注の再定義法
私が先ほど述べた30~40%の予約率についてもう一度考えてみましょう。数値上では不成約率(失注率)が60%以上となります。しかし、これだけで全てを判断することはできません。個々のレベルで調べてみると、予約電話ごとに二つの問題を持っている可能性がありますが、少なくとも一つは解決することで成功に変えることができます。もし見込み客が電話中に予約しなかったら、どんなときであろうと失注とみなされます。しかし、たとえ電話で失注していようと、営業部とマーケティング部にとっては価値のあるユーザーデータを生み出しています。これはどの業界においても言えることですが、データを集める機会があれば、それが大きな価値を生み出します。
メールアドレスを入手する価値について考えてみてください。どんな予約電話(営業、マーケティング、コールドコール)でも、データを集める機会は多くあります。例え電話での予約が取れなかったとしても、メールで消費者に連絡をとることには大きな価値があります。面白いことに、電話で失注したとしても、お客様のメールアドレスを手に入れることには、約90$~100$の価値があることが分かりました。これは、その場では予約されなかったとしても、将来的には利益に繋がる可能性を秘めているということです。
失敗から成功へ
失注したデータをより大きな視点で見てみると、驚くことが分かります。それは、営業やマーケティング部門と消費者のあらゆる接点がデータを生み出しているということです。つまり、電話で予約係と話をした後や、サイトを訪れた後に予約をしなかった60%にあたる人々が、価値ある情報を提供してくれているということです。販売戦略がうまくいかなかった場合や、マーケティング施策がお客様の心に響かなかった場合でも、どこで電話が途切れてしまったのかを理解すればデータの分析方法を考えるきっかけとなります。それを単一レベルで考えることで、特定の洞察を得て多少なりとも改善することが可能です。それはもしかしたら、なんらかの言葉の使用を控えることや、話す速度を変えることかもしれません。
営業とマーケティング部門は大量の失注データを生み出していますが、そのデータは処理されずに放置されることが多いです。このデータの真の価値は、個々の失注理由から得られる気付きをはるかに超え、サービスを向上させる驚くべき発見につながります。一方で、成功時のデータは、それが全体のどのくらいの割合かを見ることは大事ですが、それのみで判断することは危険です。
今までまったく気付かなかった洞察を得るには、5年、10年、15年、または20年にわたる失注データを調べることです。それにより、これまで便利だと思っていた技術が実際には売上に悪影響を与えていた、または、季節の変化が売上に小さな影響を与えていた等、新たな気付きを得ることができます。これこそが、販売戦略の必勝法を強化するよりも価値があることです。さらに重要なことに、そのデータはもっとも焦点をあてるべきリード、つまり予約に持っていくことができなかったリードから来ています。
失注から気づきを得る
失注は、販売やマーケティングのプロセスにおいて望ましくない結果ですが、それが、プロセス全体の価値を下げるということはありません。失注したコンバージョンや予約をそれぞれ確認することで、顧客と市場をより理解することができます。今までは気に留めていなかった部分に焦点を当てることで、自分が正しいと思っている面のみを見ていては気づけなかった重要な価値を見つけることができるのです。
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