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SAP 生成AIアシスタント/コパイロット「Joule(ジュール)」

公開日 2024年10月9日    最終更新日 2024年10月9日

SAP社が推し進める「SAP Business AI」ポートフォリオの主要機能の一つとして、
SAP社は2023年9月、自然言語を用いた新しい生成AIアシスタント/コパイロット「Joule(ジュール)」を発表しました。

Jouleは、包括的なデジタルアシスタントとしてSAPのクラウド・エンタープライズ・ポートフォリオ全体に組み込まれる予定で、自然言語によるユーザーの問いに応じ、複数のシステムからのデータの分類、文脈の整理、分析やレポーティング、レコメンデーションを行うことができます。

そのJouleについて、今回深掘りをしてみます。

Jouleとは何か?

Jouleは、ビジネス/B2B領域におけるインサイト獲得やアクション実行の支援を目的とした生成AIアシスタント/コパイロットです。「SAP Business Technology Platform(SAP BTP)」はもちろんのこと、人事から財務、サプライチェーン、調達、カスタマーエクスペリエンスといった幅広いクラウドアプリケーションに組み込まれて提供されます。

Jouleの名前は、19世紀の有名なイギリスの醸造家、物理学者、数学者であるJames Prescott Joule(ジェームズ・プレスコット・ジュール)にちなんでこの生成AIアシスタントを名付けたとのこと。
「Joule」が気になったので、手元にあった「プログレッシブ英和中辞典(第5版)」で調べてみると、“[名]《物理学》ジュール(◇エネルギー・仕事のSI単位;(記)J)”と記されていました。なるほど、仕事の単位であり、SAP社はコパイロットを活用することで、今までかかっていたエネルギー量を少なくできることの自信からこの名前を付けたことに納得しました。

Jouleの仕組み

AIモデル(Aleph Alpha、Anthropic、Cohereなど)の技術を用いた自然言語処理のための汎用LLM(大規模言語モデル)と、SAP独自のビジネスプロセスに特化した基盤モデル(Foundation Model)を組み合わせてつくられています。

他のAIアシスタントと同様に、言葉(自然言語)でチャットを介しJouleに質問をすると、質問の意図を理解したうえで、それに適したレポーティングや分析、アクションのレコメンドなどを自然言語で回答します。

例えば、あるメーカーの担当者が、販売実績不信の原因を模索していることとします。担当者はJouleに対して質問をすると、Jouleは、業績不振の地域を特定し、その地域のサプライチェーンの問題を明らかにする他のデータセットにリンク、そしてサプライチェーンシステムに自動的に接続して、担当者に対してさまざまな修正策を提示します。

Jouleは他のサービスと何が違うのか?

すでにChatGPTのような生成AIアシスタント/コパイロットは存在し活用されている今、Jouleは他のサービスと比べどう違うのでしょうか?

JouleはSAP Business Technology Platform(SAP BTP)のAIクラウドに該当するSAPソリューションの一つであり、その開発がSAP社が行っていることが決定的な違いです。
そのため、SAP社が持つ長年の経営・業務の効率化や意思決定の迅速化を目的としたITソリューションの経験とノウハウが活かされ、全世界のユーザー企業のビジネスニーズを知り尽くした上で開発されているビジネス特化のAIサービスであり、その意味では、SAP導入企業にとって有利といえます。
また、Jouleのもとになるデータプールは、3億人のSAPユーザーを含む28,000のグローバルSAP顧客から供給され、分析、匿名化された安全なデータの束から読み出されることもビジネスにおいて有効といえます。

現在はまだ発展途中のサービスといえますが、他の生成AIツールと同様、時間の経過とともにより良くなっていくのは確実です。

Jouleの提供状況

Jouleの初リリースはSAP SuccessFactorsプラットフォーム向けとして、2023年11月に提供されました。その後、SAP Start、SAP Build Code、アーリーアダプタを対象にSAP S/4HANA Cloud Public Edition などでも利用できるようになってりました。そして、BI領域では、SAP Analytics Cloud Just Askとして提供開始しています。

Jouleの最新情報は、SAPの公式ウェブページでご確認ください。

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