SAP Analytics Cloudとは
SAP Analytics Cloudは、SAP社が提供しているSaaS型BIソリューションサービスです。
2015年12月にリリースされた「SAP Cloud for Analytics」が元々の名称で、一度「SAP BusinessObjects Cloud」に名称を変え、さらに最近2回目の名称変更を経て現在の「SAP Analytics Cloud」という名前になりました。
SAP Analytics Cloud はSAP社が運用するPaaS、SAP Cloud Platform(旧: SAP HANA Cloud Platform)上で構築されているSaaSで、アクセス用のIDとPasswordさえ手に入れれば、自身のPCにインストールする手間なく、すぐにサービスを使用することができます。
SAP社は、SAP Analytics Cloud の機能として、
「Planning/計画機能」
「Predictive analytics/予測アナリティクス機能」
「Business Intelligence/ビジネスインテリジェンス(※1)機能 」
の大きく3つを挙げています。
それぞれ細かくご紹介させていただきたいところですが、今回は、これら3つを表示するビジュアルの部分のレポート、ダッシュボード機能にスポットをあてて、SAP Analytics Cloud をご紹介いたします。
※1 ビジネスインテリジェンス(BI)とは、企業内のデータを、収集し、分析することで、経営などの意思決定に役立てることを指します。
ダッシュボード紹介
洗練された美しさを簡単に
これは、SAP Analytics Cloud で作成した、売上分析を目的としたダッシュボードです。チャート、テーブル、テキストボックスなどのオブジェクトをいくつか配置していますが、それぞれが整っていて、色鮮やかに美しく表現されています。このダッシュボードについては、多少、チャートの色の設定変更を行いましたが、その他はほとんどデフォルト設定のままチャートを使用しています。細かい設定をたくさん行うことなく、このような非常に綺麗な画面を作成することが可能となっています。
ところで、「ダッシュボード」という言葉を聞くと、「作成するのが難しそう」、「作成するまでに何時間もかかりそう」というイメージを抱かれる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、このダッシュボードは「60分」でデータのインポートからダッシュボードの構築までを行いました。SAP Analytics Cloud では美しいダッシュボードを、誰でも簡単に作成することができます。
多種類のチャートを簡単に
SAP Analytics Cloud では、チャートの作成を非常に簡単に行うことができます。
作業画面上部の赤四角で囲んだボタンより、チャート作成ウィザードを呼び出した後、
作成したいグラフと、軸、数値項目を選択して基本設定は終了です。
わずか5回のクリック操作のみで、棒グラフを使用した年度毎の売上の推移のチャートを作成することができました。
自ら用意したデータを使用して、自分の見たいチャートを簡単に作成できて、データ分析を行うことができるので、SAP Analytics Cloud は、セルフサービスBIソリューションとも呼べるでしょう。
ちなみに、ウォーターフォールチャート、箱ひげ図、ヒートマップのような、他のBIツールではテクニカルな設定が必要になることが多いチャートもシンプルなクリック操作のみで、作成することができます。
また、しっかりと時間をかけて作り込めば、以下のように見た目もきれいなデータ分析用のダッシュボードを作成することも可能です。このダッシュボードはレースに関わる様々なデータの分析を行うために、折れ線グラフ、円グラフ、散布図、箱ひげ図、明細テーブルなど様々なチャートを駆使したものに仕上げています。
■ レース分析用ダッシュボード (弊社作成)
※レース分析ダッシュボードついて
このダッシュボードは、弊社が現在進めているレース分析プロジェクトで、レースデータの分析を行うために作成したものです。レース分析プロジェクトについては以下の記事をご覧ください。
事例: レース走行データの“見える化”
その他の注目点の紹介
SAP Analytics Cloud について、ダッシュボード以外で注目の点を2つ簡単にご紹介いたします。
1) 30日間の無料体験版が使用可能
SAP Analytics Cloud は30日間限定で無料体験版を使用することができます。簡単な登録だけで、最新のBIソリューションサービスを利用できるため、興味がある方は是非、体験されることをおすすめいたします。有償版と比較して細かい点で多少の制限はありますが、前述のダッシュボードと同様のものを作成することができます
2) Live Data Connection – IoTソリューション –
スマートフォンで取得したデータを、SAP Cloud Platformに蓄積し、SAP Analytics Cloud とリアルタイムに連携して、ダッシュボード画面に表示させることができます。表示できるデータとして、例えば、スマートフォンの加速度センサより取得できるG(重力)のデータや、GPSのデータなどが挙げられます。
ただし、このソリューションを使用するためには、SAP Cloud Platform上のSAP HANAと接続する必要があります 。
【注意】
Live Data Connectionの使用には、SAP Analytics Cloud とSAP HANAとの接続設定の他にも、SAP HANAの権限設定、SAP Cloud Platform上でIoTサービス利用のための設定など、いくつかの設定が必要になります。詳しい説明は本稿では割愛させていただきます。なお、ご興味がある方は以下の記事を参照ください。
『SAP Analytics Cloud(旧BO Cloud) からSAP Cloud Platform 上に格納されたIoTメッセージを参照する』(株式会社BeeX社のBlogを参照)
終わりに
素晴らしい機能、そして気になる機能を多く備えたSAP Analytics Cloud ですが、残念ながら良い面ばかりではありません。例えば、日本語データの取り込み時に制約がある、複雑な演算を用いたデータ加工が不得手、SaaSのため時間帯によっては動作が遅くなり、使用ストレスを感じてしまうなど、現時点でいくつかの課題が見えています。
しかし、SAP Analytics Cloud は進化の最中です。これから、定期的に多くのアップデートが実施され、機能修正、機能追加が多く行われていくと想定されます。半年、1年と時間の経過とともに、SAP Analytics Cloud が今以上に魅力的なBIソリューションサービスに成長していくことを期待しています。
SAP Analytics for Cloudの詳細は、SAP社のホームページをご覧ください。
【公式HP】
SAP Analytics for Cloud
※ SAP 及び SAP ロゴ、SAP BusinesObjects、その他の SAP 製品は、ドイツ及びその他の国における SAP AG の商標または登録商標です。
※ その他の会社名、製品名は各社の登録商標または商標です。
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