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データの可視化に必須のチャート13選

公開日 2024年12月9日    最終更新日 2024年12月9日

データビジュアライゼーションとは、「相手の想像力をかき立てること」

データ分析と活用を通じて導きされた分析結果は、最終的にチャートやグラフ、レポートなどさまざまな形でアウトプットされます。それだけに、ビジュアライズリテラシーにおいて最も大切なポイントは、そのアウトプットが伝えたい内容になっているか、という一点絞られるといっても過言ではありません。逆に言えば、見る側の立場として、そのアウトプットが分かりやすく、伝えたいことが読み取れるのかとも言えます。

ビジュアライゼーションとは「視覚化」と混同されていますが、本来の日本語訳は「可視化」で、人間が直接的に見ることができない事柄・現象・関係性などをイメージさせる(する)ことを意味します。つまり、究極なねらいは想像力をかき立てること。この力が強くなれば、本来見えないはずの深い情報を洞察できると言われています。これを英語では「Insight」と表されています。

データ分析と活用においてはダッシュボードや経営コックピットに表、チャートやグラフを利用し、視覚で訴えるケースが多いが、残念ながら中にはこのビジュアライズの本質を理解していないものも見受けられる。
例えば、単にグラフを並べただけのものや、チャートの目的が不明なもの、比較しづらいチャートを利用しているものなどです。

今回、データビジュアライゼーションの基本となる、シンプルなものから複雑なものまで、13種類のチャートを取り上げ、それぞれの特徴と、最大限の効果を得るための利用方法について説明します。適切なチャートは、データ主導の意思決定を行うための鍵となります。このガイドを参考に、適切なチャートで伝えたい相手の想像力をかき立ててください。

データビジュアライゼーションは、美しい建築物と同じ

To create architecture is to put in order. Put what in order? Function and objects.
(建築を創造するとは、秩序をあたえることである。何に秩序に与えるのか?機能と物体である)
– ル・コルビュジエ

「住宅は住むための機械である」という名言を残した20世紀を代表する現代建築家の一人ル・コルビュジエ。先の文章も彼の言葉で、コルビュジエは、最も重要なものを犠牲にすることなく、すべてを最もシンプルでエレガントな形で建築物に還元する方法を用いていました。彼が重要視していたことは、「それぞれの建築物の目的と、人々が自分たちの周りの空間とどのように関わるか」です。

機能とユーザーに焦点を当てる

データビジュアライゼーションは、建築に似ています。データをどのように表示・伝えるのか考える際には、まず機能(一目で伝えたいトレンド、パターン、重要な情報)から考え、次にユーザー(ユーザーがどのようにデータをナビゲートし、データとやりとりするか)を考慮し、最後に、できるだけクリーンで美しい物体にするという最終ステップに到達します。

データビジュアライゼーションをクリーンにする正しいステップ

多くの人は、データビジュアライゼーションのステップを間違った順序で実行しています。「これは提示すべき情報だ。これを最も効果的に示す方法を探そう」ではなく、「ここは棒グラフ/円グラフ/インジケータが必要だ」と考えます。さらに悪いことに、「散布図が使いたい。ここに配置してみよう」と考える人もいます。
その結果、本来の目的である「可視化」「Insight」にならず、役立たない、混乱を招き、誤解を招くようなダッシュボードやレポートができあがってしまうのです。

13種類の覚えるべきチャート

1. インジケーター:1つのKPIを示すこと

インジケーターは、特定のKPIの状況を即座に把握したい場合に特に役立ちます。シンプルな「ゲージインジケーター」を取り入れると、目標値を上回っているか下回っているか、また正しい方向に向かって進んでいるかがすぐにわかります。さらに、赤と緑のカラーリングや上向きと下向きの矢印など組み合わせるとより効果が高まります。右下の数値インジケーターは、単純な数値と前年/前四半期/前月などとの比較をわかりやすく表示することができます。

2. 折れ線グラフ:トレンドを表示

折れ線グラフは、全体的なトレンドを迅速かつ簡潔に、誤解を招きにくい形で示します。特に、同じ期間における異なるカテゴリーの傾向を比較しながら示すのに適しています。例えば、下のグラフは3つの異なる製品ラインの年齢層別売上高を示しています。
最大の顧客は34歳から45歳のPDA購入者であり、次いで19歳から24歳の携帯電話購入者が続いていることが一目で理解できます。

3. 棒グラフ:物事を単純に分解する

棒グラフは、異なる値が色分けされたカテゴリーに分けられている場合、複数の異なる値を比較するのに最適です。折れ線グラフとの違いを説明するために、上記の同じ情報を棒グラフとして再表示してみましょう。
折れ線グラフから得られる主な情報は、34歳から45歳までの年齢層によるPDAの販売の大きなピークですが、棒グラフでは、各年齢層内の各カテゴリーの販売数値のより詳細な違いを把握することができます。 異なる製品ラインは年齢層ごとにグループ化されているため、製品ラインに焦点を当てるのではなく、どの年齢層がビジネスにとって最も価値があるか、一目で把握することができます。

4. 縦棒グラフ:値を並べて比較する

異なる値を並べて比較する場合は縦棒グラフを使用するのが最適です。 また、縦棒グラフは経年変化を示すのにも使用できますが、これはトレンドよりも合計数値に注目させたい場合に有効となります。
例えば、下のチャートは、一連の日程におけるウェブサイトの総ページビュー数とセッション数を比較したものです。 日ごとの数値の変化はあまり大きくないので、折れ線グラフではトレンドに関する洞察的な情報は得られません。むしろ、ここで重要な情報は、各日のウェブサイトへの訪問者数です。

主要数値と全体的な傾向を強調したり対比させたい場合は、下の例のように、折れ線グラフと縦棒グラフを組み合わせることができます。
ご覧の通り、各月の販売総数と総収益は、それぞれ少し異なる要因を伝えています。
可視化したことにより、販売数が少なくても最も収益性の高い製品がどれであるか、という新たな調査の道が開かれます。これは、今後の販売およびマーケティング戦略の策定において重要な意味を持つ可能性があります。

5. 円グラフ:割合を明確に示す

円グラフは、各値が全体に占める割合を示します。単純に合計が100%になるようにパーセンテージを列挙するよりも、直感的に理解できます。
次の円グラフは、見込み客のリード総数のうちどの媒体がリードを獲得しているかを示しています。web広告のAdWordsが最も効果的な媒体であり、次にソーシャルメディア、そしてウェビナーが続いていることが一目で分かります。この円グラフによりマーケティングチームは、何が最も効果的な媒体であるかを即座に理解することで、キャンペーンの施策に対してリソースを迅速に再割り当てしたりするのに役立ちます。

アドバイス:円グラフを効果的にするには、カテゴリーを6つ以下にする必要があります。それ以上の数になると、グラフが窮屈になり、数値が不明瞭になり、洞察を得ることができなくなります。 米国の州の人口規模を比較したこの円グラフでは、ほとんど情報を伝えることができないことを示す悪例です。

Source: European Environment Agency

6. 面グラフ:割合を比較する

面グラフは、全体のボリュームとそのボリュームが各カテゴリーで占める割合を把握できます。
上の例では、あるボリューム(収益)が別のボリューム(費用)とどれだけ重なっているかが明示します。これは、収益予測の現実的なチェックを行うのに最適な方法です。黄色い細長い部分の利益が最も薄いことが一目でわかり、単に最も多くの現金を獲得する時期ではなく、キャッシュフローが最も逼迫する時期を評価するのに役立ちます。
このチャートは、リソース計画、注文パターン、財務管理、適切なストレージスペースの割り当てなど、さまざまな問題を明らかにすることができます。

重要:このようなレイヤー化されたチャートは、3つ以上の値を混ぜ合わせると混乱を招くことがありますのでご注意ください

7. ピボットテーブル:主要数値を簡単に提示

ピボットテーブルは、直感的に視覚で訴えるデータの視覚化方法ではありませんが、傾向をつかむのではなく正確な数値を確認しながら、主要な数値を素早く抽出したい場合に用います。
今回の例では、複雑な患者情報が要約され、費用、患者数、平均入院日数に関する詳細な概要を示しています。

8.散布図:分布と関係を視覚化

散布図は、円の色でデータのカテゴリーを、円の大きさでデータの量を表します。散布図は、2つの変数の分布と関係を視覚化するために使用されます。
下の図は、各製品ラインを販売数とそれによる収益で視覚化し、物理的なサイズで価値を表しています。また、これを性別ごとに分類しています。
このシナリオでは、最も頻繁にそして収益性の高い顧客は現在男性であることが分かります。可視化したことで、ビジネスの優先事項に応じて、男性の買い物客に対しマーケティング施策を集中させるのか、あるいは女性顧客に対し効果的に引き付ける施策を模索するかなど、意思決定をすることが可能となります。

9. バブルチャート:複数の変数を理解する

散布図と同様に、バブルチャートは円の円周の大きさで値の重みを表します。ただし、散布図とは異なり、バブルチャートは多くの異なる値を1つの小さなスペースに詰め込み、カテゴリーごとに1つの測定値のみを表します。このチャートは、無数の些細なカテゴリーと比較して、少数のカテゴリーが非常に重要であることを示したい場合に役立ちます。このような視覚的な表現は、ユーザーが最大の課題や成功に簡単にフォーカスを当てられることができます。

例えば、ニューヨーク・タイムズ紙によるこの調査に基づくバブルチャートでは、米国政府による3.7兆ドルの「福祉」支出が実際どのように使われているかを分析しています。


Source: The New York Times

ご覧の通り、ほとんどの人が「福祉(給付金)」として考える割合は、管理費、国防関連支出、金利と比較すると非常に小さいことが分かります。一方、このカテゴリーに分類される支出のほとんどは、ほとんど目に見えないほどごくわずかです。
このようなバブルチャートは、政治的な主張を際立たせるためにしばしば使用されますが、ビジネスにおいても、優先順位の誤りや実際の比較コストや価値を示すために、あるいは業務の合理化やコスト削減を検討する際に最も支出の多い分野を強調するために、効果的に活用することができます。

10. ツリーマップ:階層を表示し、価値を比較する

ツリーマップは、カテゴリーとサブカテゴリー間の階層や比較価値を表示するのに役立ちます。また、詳細を維持しながら、全体の中でどの領域が最も重要であるかを即座に把握することができます。
これは、色分けされた長方形を互いに内側に配置し、全体に占める割合を反映した重み付けを行うことで実現します。下のツリーマップは、さまざまなマーケティングチャネルの価値を示しており、さらに国別に分類されています。AdWordsが最も成功したチャネルであることが一目で分かりますが、全チャネルを通じて、米国が最も価値の高い市場であることも分かります。

11. 極座標チャートは、複数の変数間の関係性を示す

極座標チャート(ポーラチャート)は円グラフの一種です。ただし、各値の全体に占める割合を角度の大きさで表すのではなく、すべてのセクターの角度は等しく、値は円の中心からの距離で示されます。
下の例は、複数のブランドの売上を示す販売ダッシュボードです。 各セグメントはブランド名を表し、赤は新製品、ライトグレーは改装品、ダークグレーは「未指定」を意味します。

12. エリア/散布マップ:地理的データを表示します

データは地図上の色のついた点として視覚化され、値は円の大きさで表すエリア/散布マップを使うことで、ビジネスにとって最も重要な地理的場所が明確になり2つの重要な情報を一目で把握できるため、非常に便利です。
例えば、下の地図はウェブサイト訪問者の所在地を示していますが、色はコンバージョン率のパーセンテージを表しています。緑が明るいほど、コンバージョン率が高いことを示しています。すなわち、世界中の訪問者の大半がどこから来ているか、また、世界中の最も価値のある訪問者がどこから来ているか、という2つの情報が可視化されることで、マーケティング戦略の弱点を瞬時に把握することができます。

13. ファンネルチャート:販売数などのパイプラインを表示します。

ファンネルチャートは、顧客が販売プロセスを通過するにつれ減少する値を示す、非常に特殊なチャートの一種です。このチャートの優れた点は、各段階でのコンバージョン率が一目でわかるため、どこで顧客が離脱しているかがすぐにわかります。
下のファンネルチャートは、最初のウェブサイト訪問から、あらゆるタッチポイントを経て最終的な販売に至るまでの、各需要段階における人数を示しています。

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本記事は、Sisense社の許諾のもと、弊社著書「データドリブン経営の不都合な真実」の知見をもとに弊社独自の解釈で記事化しております。
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