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新機能「ビジュアル・データ準備」を徹底検証

公開日 2016年8月4日    最終更新日 2020年3月12日

前回、2016年6月末にリリースされた「Qlik Sense 3.0 の新機能」についてご紹介いたしました。

今回は、その新機能のうち、「ビジュアル・データ準備」について、徹底検証をしてみます。

直感的に分かるビジュアル・データ準備

これが使いされた「ビジュアル・データ準備」機能の「関連付け」画面です。

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専門的なSQLコマンドなどの知識などなくても、直観的にデータの関連付けが可能になりました。これは、直観的な操作にこだわりつづけるQlik Senseらしい新機能です。
表示する円のサイズは、データの量を表現しており、図の中心にある円が大きいのは、トランザクションデータである「販売伝票」だからです。

データの結合

データの結合を実際に行っていきます。
販売伝票テーブルを選択すると他のテーブルが緑やオレンジ色になりました。

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これは緑の場合は、項目名が同一でかつデータの関連性も近い場合に表示されます。

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オレンジ色の場合は、項目名が一致しないがデータの関連性は近い場合です。

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そして何も反応がなかったテーブルは、項目名もデータの関連性も近くないと判断された場合です。

次に、画面右端のアイコンの「推奨事項に従ってデータを関連付け」を選択すると、
文字通り推奨事項に沿ってデータが関連付けされます。
今回の場合、関連付けされたテーブルが2つ作成されることになります。

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「ビジュアル・データ準備」は便利な反面、頼りすぎないことが重要

「ビジュアル・データ準備」は、直観的で容易にデータの関連付けが行える非常に優れた機能です。しかし、実際に使用してみると、いくつか気になる点がありました。

データの関連付け時のQlik Sense独自の動き

一般的なデータの関連付けの場合、結合することで、複数のテーブルから1つのテーブルを構築します。
一方でQlik Senseは結合して新たにテーブルを構築するのではなく、あくまで項目名で関連付けを行います。
つまり結合という概念がないので、自ずと全データが抽出されてしまいます。
例えば他社のセルフサービスBIの場合、以下の画面のような結合条件を選択することができ、理論上は“内部結合”だと最もデータ量を減らすことができます。
しかし、Qlik Senseの関連づけは“完全外部”に近いためデータ量が減りません。

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例:画面はTableau

この点はSAP社の”Business Objects”や”HANA Studio”でのView定義でも同様に、
結合条件やカーディナリティ、フィルタ条件など詳細に設定することが可能です。

Qlik Senseは、拡張性があるスクリプトを書くことにより、上記の結合を手入力で作り込むことができます。しかし、この場合、ある程度の専門的な知識が必要となります。

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自動関連付け機能の実用性

本機能により、自動で、「この項目とこの項目は関連性がある」という提案をしてくれます。
そのため、BIツールによる分析が慣れていない方には、非常に便利な機能です。
その反面、この機能を信用しすぎることで、ユーザーがデータの関連性を意識しなくなり、結果、正しい分析結果を導き出せなくなるのではないかと懸念を持ちます。

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理由は、通常のシステム開発のルールに従えば、「開発」の前には「設計」や「要件定義」があります。
一般的には開発段階の前で、「どの項目とどの項目を関連付けるか」を事前に決めます。
データの関連付けはデータ分析の肝である以上、本来アプリに提案されるまでもなく、開発者やユーザーが事前に決定しており、データの中身も理解されているべきです。
しかし、この意識が薄れることで、データの関連性は正しくないのに正しいと思い込んでしまい、分析結果に間違いがあるのに気がつかないことがあるのではないかと危惧しております

動作について

レポーティングツールとして、操作がもっさりと遅いのは、ユーザーに大きなストレスを与えてしまいます。
それに加えて”インメモリ”ですから、メモリ上にデータが大量に保持されるので、
業務を想定すると相当なメモリスペックが要求されることが予想されます。

総括:セルフサービスBIの敷居を下げる機能

Qlik Senseは非常に操作性が高く、速さに優れている一方で、複雑なことをすることが苦手です。この点が、セルフサービスBIの敷居を下げていると言えるでしょう。
この使いやすさを確保するには、裏側で専門家によるしっかりとした基礎を固め、事前に複雑なデータの処理は済ませておくことをお薦めします。

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