ウォーターフォールチャートはご存じですか?
このチャートは、最初の値が数値の増減によってどうに変化したのかなど、正と負の変化を視覚化したグラフです。このチャートにより積み上げ棒グラフなどの重なる部分を分解し、最初の値から最終の値までの増減を表せます。そのため、会社決算時のキャッシュフロー計算書に利用されており、株式投資をされている方ならおなじみのチャートだと思います。
今回はウォーターフォールチャートに注目してみます。
なお、本チャートは、別名「滝グラフ」「ウォーターフォール図」「橋グラフ」とも呼ばれていますが、このページでは、「ウォーターフォールチャート」として話を進めます。
ウォーターフォールチャートの基本
まずはウォーターフォールチャートの基本を知りましょう。初期値を用意し、段階的に次の値を加算または減算します。下の画像は、初期値 100 に 20 を加算または減算した 2 つの異なる結果を示してみました。
ウォーターフォールチャートの応用
基本が整いましたので、複数のステップを追加した図を見てみます。一般的な棒グラフと違い、空中にぶら下がっているレンガ(四角)が値を表しています。各ステップは、前のステップと比較した絶対的な違いを示しています。また、通常、ウォーターフォール チャートの最後には、すべての加算と減算の最終値を示すゼロから始まるバーがあります。これで、値がどのように変化したかだけでなく、累積された最終値が何であるかを確認できます。以下の例では、企業の単純化された損益計算書を視覚化しています。プラスの棒(緑)はすべて収入で、マイナスの棒(赤)はすべて支出となります。
ウォーターフォールチャートを作る上でのTipsとして、ステップに沿って小計を追加する方法があります。変化の絶対値だけでなくその位置での絶対値も知りたい場合があります。その場合、その位置での累積値を示す小計バーを追加してください。以下の例は、前の図をもとに総収益(Total Revenue)の小計を追加してみました。
この図から、ピボット テーブルや P/L レポートで表示するのと同じように、累積収支も財務情報の一部として見せることができます。
財務分野以外での利用もお勧め
ビジネスの応用例として、別のテーマも用意しました。昨今、CO2等の温室効果ガスが課題となっており、各国において「カーボンニュートラル」に向けた政策に取り組んでいます。
ここでは、その理由となっているCO2排出源と吸収源のバランスを1870年から2017年の期間を基に可視化したウォーターフォール グラフにしてみました。
データソースは、CDIAC/GCP/NOAA-ESRL/UNFCCC/BP/USGS(CDIAC:二酸化炭素情報分析センター、GCP :グローバル・カーボン・プロジェクト、NOAA-ESRL:NOAA地球システム調査研究所、UNFCCC:国連気候変動枠組条約、USGS:米国地質調査所)を利用しています。
石油やガスなどCO2排出源を加算、陸地や海洋など吸収源を減算して表してみたのが下図です。
この図から、大気中の CO2 レベルは 1870 年より 2017 年の方が高くなっています。石炭がもっともCO2に関与していることが分かります。増加した分の一部は、CO2 を吸収する炭素吸収源、例えば海洋などによって相殺されますが、残念ながらこれでは大気中の CO2 の増加を止めるには難しいことがわかります。
ウォーターフォールチャートは正と負の変化を視覚化したグラフ表現
このようにウォーターフォールチャートは、連続した変化の累積的な影響度を視覚化する表現に非常に便利なツールです。そのため、財務業務だけでなく、さまざまな分野で利用できます。棒チャート。折れ線グラフとともに、新しい表現方法として利用してみてください。
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