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顧客満足度分析による顧客離れへの挑戦 

公開日 2019年10月15日    最終更新日 2023年4月10日

BtoB向けサブスクリプションビジネスにおいて、以下の有名な格言があります。「新規顧客の獲得には、既存の顧客満足度を維持する以上にコストがかかる。そして、既存顧客を維持するためには、顧客満足度の向上にリソースを割く前に、顧客の解約率を見直す必要がある。」

また、元マイクロソフト社のビルゲイツ氏も次の言葉を残しています。「あなたの顧客の中で、一番不満を持っている客こそ、一番の学習源である。」

顧客離れの原因を追跡し改善していくことは、楽しいことではありません。しかし、その失敗の中には将来の顧客数を増加し、それを維持するのに必要なデータが含まれています。真にデータを活用したカスタマーサービス分析を確立するため、CRMとマーケティングや財務状況のデータを突合せ、正確なデータを追跡してください。その後、データを基に今後のカスタマーサービス部門について考えてみましょう。

とどまる顧客と去る顧客

年間の解約率が8%として、次の四半期に解約率を減らす戦略があるとします。しかし、解約率8%という情報だけでは、その戦略が妥当であるかどうかは判断できません。そこで、顧客満足度を分析するダッシュボードを作成してください。CRMに蓄積した顧客情報と付き合わせることで、解約率の構成を可視化することができます。さらに効果的なダッシュボードであれば、年間解約率のうちの大口顧客と小口顧客の比率を視覚化することも可能となります。そして、同時に顧客の業界が多岐にわたる場合、過去の顧客規模や業界ごとの解約率を掘り下げて分析することもできるようになります。

例えば、今回のケースにおいて、データの全容を把握することで以下のことが判明します。

  • 解約率8%の内訳は40社の中小企業と4つの大口企業で構成されている
  • 中小企業の顧客維持が難しい

このデータに、CRMやマーケティング、顧客の財務情報などを結合したデータを使用することで、より詳しいストーリーを導くことができます。さらに、そのデータを駆使しカスタマーサクセスダッシュボードを構築すれば、下記のような分析が可能となります。

  • 平均的な顧客の4倍の販売サイクルを達成するには、マーケティング部門は4倍のコストが必要
  • 軌道に乗れば、顧客は5倍長く継続し、生涯価値は20倍になる

いつ、そして、なぜ解約してしまうのか?

時系列でカスタマーサクセス分析を行うことにより、顧客の平均解約期間の傾向把握や、解約理由の特定ができるようになります。解約した顧客全てに関して嘆く必要はありません。なぜなら、分析によって、解約理由が不満からではなく、サービスが合わなかっただけということが明確化できることがあるからです。

先述した8%の解約率をドリルダウンした結果、以下のことが判明したとします。

  • 毎年解約する40の中小企業のうち半分は、同様の企業規模の顧客よりも解約までの期間が短い
  • 解約顧客の産業は全て同じ

ダッシュボードでデータをドリルダウンすることで、顧客が解約した理由が、顧客が求めている機能が製品になく、今後追加される見通しがないことが理由であると判明しました。この結果から、マーケティングや営業は、このような顧客を獲得するリソースを他の施策に割り当てるべきだということがわかります。

一方で、顧客満足度分析により、4つの大口企業にとって製品は満足できるものでしたが、ヘルプデスクに課題があることがわかりました。この課題を顧客満足度ダッシュボードで分析し、データに基づいた意思決定を支援します。分析の結果、現在、製品に見合わない販売施策に割り当てている予算を、カスタマーサービス部門に割り当てることになりました。その予算で人員を追加することで、大口顧客の維持を目指します。

継続的にKPIをモニタリングして解約率を下げる

顧客満足度ダッシュボードで年間解約率に大きな影響を与える顧客セグメントを特定し、解約率を下げるためのリソースを割り当てましょう。このダッシュボードを活用することで、カスタマーサクセスマネージャーが解約率に与える影響や、顧客満足度KPIの監視が可能となります。

例えば、ダッシュボードの監視により、追加した人員が2四半期以内で解約率を0.75%下げたことに気づいたとします。しかし、会社としては年末までに、さらに解約率を下げたいと考えるでしょう。そこで、顧客基盤とサービスの寿命から算出したネットプロモータースコア(NPS)を可視化することで、解約の予測や、会社規模毎の解約を減らす方法を見つけることが重要となります。
また、ダッシュボードを監視していると、ネットプロモータースコアが下がることがあります。その要因はなんでしょうか?例えば、その要因が、新しい地域でオフィスを開設した、カスタマーサクセス部門のパフォーマンス低下であると気づくかもしれません。会社規模の拡大によるネットプロモータースコアの低下であった場合、顧客満足度向上のトレーニング内容を見直す、または、新しい地域で強力な基盤を構築できる人員の配置を検討する時です。

あるいは、ダッシュボードにプロモータースコアの低さと顧客企業のマネジメント職の離職率に強い相関関係が示されているかもしれません。解約リスクが高い場合、重要な顧客企業内で、オンライントレーニングや、ワークショップを開催し、難易度の高い移行をサポートすることが、解約率を下げる有効な投資になるでしょう。

「カスタマーサクセスの障壁となる最大の要因は、トップマネジメント達がカスタマーサクセスを重要な文化の一部に位置付けしていないことである」とGainsight社のCEOであるNick Mehta氏は述べています。

カスタマーサクセス部門が解約率を削減するために必要な洞察を得られるだけのデータが準備できている場合、顧客満足度分析をトップ主導で実施してみてください。その結果、企業の成長に合わせて、最も価値のある顧客を満足させることができるでしょう。

 

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