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女性の教育で、国は発展する

公開日 2019年6月10日    最終更新日 2023年4月10日

ユネスコの発表によると、「近年の発展にも関わらず、多くの女児が依然として学校に通えていない状態」だといいます。事実、ユネスコ統計研究所のレポートでは、一度も教育を受けたことがない女児は1,600万人に達し、また、全世界の成人した女性7億5,000万人のうち3分の2は、読み書きできないとの記載があります。アフリカには「男性を教育することは、個人を教育すること。女性を教育することは、国家を教育すること」ということわざがあります。これは事実でしょうか?Sisenseでは、このことわざにフォーカスして分析を行い、事実かどうかを検証してみました。

まずは、今月のGoFigure!で世界銀行のデータを詳しく調査した結果、世界経済恐慌前の2008年から2009年の間に女性の労働参加率が高かった国は、経済危機の影響をあまり受けずにその後急速に成長したことがわかりました。次に、女性の社会進出を拒む最も大きな原因である教育について見てみましょう。

中等教育の影響

中等教育という言葉は人によって異なる意味を持つ可能性があることから、まずは言葉の定義から始めましょう。今回私たちがデータを取得した世界銀行では、以下のように定めています。

“中等教育とは、初期教育から基礎教育までの規定を完了し、より専門的な授業を学び、スキルを得ることによって生涯学習と人間開発の基礎を築くことを目指すものです。”

それでは、2008年から2009年の世界経済恐慌の後、中等教育の達成が国ごとの一人当たりのGDPへどのような影響を与えたかを見てみます。世界経済恐慌後の数年間の中等教育を見たとき、2009年、および2011年から2012年の間に、男女の教育参加率が平等になればなるほど、特定の国の一人当たりGDPが高くなることがわかりました。

国ごとの一人当たりのGDP

上のグラフでは、それぞれのバブルは国を表し、その大きさは、GDPの成長率を示しています。これによると、国の男女教育が平等であればあるほど、また労働力における女性の割合が増えれば増えるほど、国のGDP成長率が高くなっていることがわかります。

以下の図は、上の図とほとんど同じですが、バブルの大きさは一人あたりのGDPを示しています。このグラフから明らかなように、ほとんどの場合、男女間の教育が平等で、労働における女性の割合が高い国では、1人当たりのGDPが高くなっていることがわかります。

特定の国の一人当たりGDP

GDP成長率の高さと一人当たりのGDPの高さは非常に似ております。どちらも女性の社会進出と男女教育の平等さが理由となっているようです。

データをより深く掘り下げて、世界各国の断面を見てみましょう。下のテーブルは、中等教育を受けた男女の比率が同じまたは同じに近い国を表しています。これらの国は女性の社会参加率が高く、また2008年から2009年の世界経済恐慌時に大打撃を受けましたが、経済危機後のGDPはプラスへ変化しています。

世界各国のGDP

女性と女児を優先する

世界的に、政府や政策立案者にとって女性に対する教育は最優先事項ではありません。その理由について、Melinda Gatesは語ります。「人的資本投資による経済的上昇は10年後に起こるため、効果がわかりづらい。その結果、世界はより良くなる機会を逃し続けている。」

それでは、どうすれば女性に対する教育を促すことができるでしょうか。最初に行うべきは、幼少期教育の参加ハードルを緩和することです。例えば、女性の若年結婚を重んじる文化では、結婚や早産を理由に教育を受けさせないことがあります。事実、『教育のためのグローバルパートナーシップ』では、12歳で結婚する女児は21%、15歳で結婚する女児は12%など先進国と比べ高く、その結果、中等教育を受ける可能性が非常に低くなっています。さらに、男児より女児に多くの家事を任せている家庭では、女児の教育費が高いと思われるなど、さらに教育を受けさせない傾向が高まります。

また別の例として、生理用品を入手できないことことが、女児が毎月欠席を繰り返す原因となっています。これは大した日数ではないように思うかもしれませんが、仮に月4日学校を休んだ場合、年間で48日もの日数を欠席することになります。こうした欠席により、授業についていけなくなった女児は退学せざるを得なくなります。

しかし、光明はあります。多くの団体や組織(CAMFEDやGirls Education International、She’s The Firstなど)が、女性教育のハードルを低くしようと行動を起こしています。この活動が広がれば、男女間の教育格差を大幅に狭め、女性が自分自身で人生をコントロールできるようになり、地域や国に貢献する力を得ることができるでしょう。

今回、データを分析したことで得られた知見があります。それは、女性に教育を受けさせることで、女性の能力を引き出し、それが国力の一つとして発揮されることで、さらに国が繁栄していくということです。

 

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