小売業界における分析は絶えず進化しています。新たなトレンドや需要の出現、世界情勢の変化に伴い、購入の意思決定や購買プロセスも変化しています。そうした中で、これらを分析するために大量データが取得されています。
この重要なデータの収集、計測、そして分析は、小売業にとって新たな打ち手に繋げることができますが、最も労力のかかる作業でもあります。
ビジネス・インテリジェンス(BI)システムを導入することで、企業はデータを効果的に蓄積・分析することが可能になると同時に、これら作業の労力を減らすことができます。さらには、可視化をすることで、自社が進化し続けていることも確かめることができます。
BIツールの最終目標は、日常業務の可視性を高めることです。
BIツールを導入することで、トレンドや需要の分析を通して成長が可視化できる場合もあれば、担当者がさらに掘り下げて、予測的な見通しのために可視化を提供する場合もあります。
BIツールを適切に利用することにより、顧客のニーズを今まで以上に理解し、現在のトレンドに合わせて価格を最適化できます。そして、今後のトレンドを分析し、販売価格や仕入れ価格を再設定することでマージンを増やし、顧客により良いショッピング体験を提供することが可能になるでしょう。このように、BIツールを小売業で活用することで、顧客が来店するたびに売上高を増加させることが可能となります。
eコマース業界におけるBI
eコマース(電子商取引)は、ここ数年小売業界で急成長しており、さらなる成長に向かっています。実際に、2020年には、eコマースの売上は4兆ドルに達すると予測されています。
多くのブランドがデジタル分野に移行し、人工知能から顧客サービスボットなどの付随する機能を利用しているなど、小売業のデジタル化が押し進む理由は明らかです。しかし、追跡や計測を可能にするデジタルツールが大量にある中で、小売業者として、いったい何をどのように活用するべきかご存知ですか?
eコマースブランドの場合、非常に多くの異なる可動要素に対して計測が必要となります。それは、商品や配送料の追跡、卸売業者と出荷の管理、そして顧客の行動分析などがそれにあたります。
Fiverrを見てみましょう。Fiverrは、5ドルから数千ドルの価格帯でサービスを販売している世界的なオンラインマーケットです。彼らにとって企業データは、自社が優位に立つ極めて有益な情報です。
Fiverrは、競合他社を研究するよりユーザーから学ぶ方がはるかに価値があると確信しており、例えば新機能のリリースは、ユーザーに前例のない価値を提供するとわかるまで公開しません。FiverrはSisenseをBIツールとして使用し、Googleドキュメント、Googleスプレッドシート、Googleアナリティクスなどのデータを組み合わせて、自社サイトやモバイルアプリで発生したイベントを簡単に追跡できるようにしました。
これにより、ユーザーニーズが可視化することができ、ユーザー層が増加するにつれて、Fiverrのニーズもさらに増加しています。意外にも、FiverrがBIツールを必要としていた最も重要な目的は、リアルタイムで顧客行動を追跡することだったのかもしれません。eコマースの世界では、物事は急速に変化します。“その瞬間”に人々が何をしているのかを可視化することは、有利な状態を維持するために極めて重要だからです。
Sisenseが利用される前は、Fiverrは多数の異なるデータソースからデータを収集していました。一般的に言って、発生したデータを迅速に収集できる方法ではありませんでした。現在は、製品チームがSisenseで収集したデータを利用して製品ロードマップを決定しています。
BIがeコマースに有益な理由
オンラインの世界は常に変化します。物事が光の速さで変化している中、トレンドに乗り続けるには、できるだけリアルタイムに可視化を行う必要があります。
リアルタイムで可視化をしていくと、今後の傾向や顧客が以前に購入したものに応じて、適切なタイミングで商品の価格を最適化することが可能となります。さらには、データを取得後すぐに測定および分析を行うことで、ブランドが市場におけるポジショニングを向上させるのにも役立ちます。
実際に、CIOの調査によると、リアルタイムデータへのアクセスを行っていると答えた19%の経営陣は競争力が大幅に向上しました 。
Fiverrにとって、Sisenseは顧客行動に基づいて迅速で賢明な決定を下すことができる機敏なデータ分析基盤となりました。
インストアニーズに対応するBI
Amazonのような巨大なオンラインストアの競争が激化したことで、小売業者は迅速に最善の決定を下すために、迅速でデータドリブン型の手段が必要となります。
多くの小売業者は、自社の最も売れている製品が何なのかを把握しています。しかし、店舗数が多い場合や、世界中で製品を扱っている場合などは、状況は少し複雑になります。
地域性や複数のマーケットにサービスを提供している場合、自社の売れ行きや地域ニーズを把握するためには、より深く広い視野が必要となり、これらのデータ分析を行うのは非常に大変です。
これが、KargoCardが直面した課題です。KargoCardはギフトカード会社として、中国の20都市のコンビニエンスストアや小売店にギフトカードを供給しています。
KargoCardが販売する店舗数は膨大だったため、各店舗からの測定基準を追跡して測定し、その結果に従って販売努力を最適化することは非常に困難でした。
そこで、これらの課題を解決すべくBIツールを導入したのです。
KargoCardはSisenseを利用することで、ExcelやCSVファイルで送られてきたパートナーデータをまとめることができ、中国全土の店舗ネットワーク全体に渡って在庫保有状況を追跡することができるようになりました。そして、どのブランドのカードが在庫切れであるかをすばやく簡単に確認し、迅速に次の行動が取れるようになったことで、機会損失を防ぐことができました。
さらに、KargoCardが使用するSisenseによるダッシュボードは、彼らの販売状況を最適化し、小売モデルに対してA/Bテストを実行するのに役立っています。
BIがインストアニーズに有益な理由
BIツールを導入したことで、KargoCardは、必要な店舗に応じて商品を補充したり、データから良いアイデアを発見した際にカードを並び替えたりするなど、効果的な決定を行うことで収益を増やすことができました。
このようにBIはインストアニーズを確実に満たし、効果的な意思決定が迅速かつ費用対効果の高い方法で行えるようにします。
舞台裏でのBI
小売企業の舞台裏では、多くのことが起こります。
売上やトレンドの測定、追跡だけではなく、マーケティングデータの収集、内部予算の決定、過去のデータによる予測もあります。
ヘッドフォン、イヤホン、およびその他のオーディオ機器の大手サプライヤであるSkullcandyにとって、これらすべてを追跡するということは、複数のソースロケーションで1億行を超えるデータをカバーすることを意味します。それはご想像のとおり、物流業界にとっては悪夢です。
これらすべての情報を1箇所にまとめるために、SkullcandyはBIツールに目を向けました。
今までのシステムでは、一部のデータが欠落していることがしばしばあり、必ずしも結果が正確ではありませんでした。これは継続的に物事の把握に努めるべき小売企業にとっては、良いことではありません。
BIが舞台裏に有益な理由
Skullcandyは、IT部門から人事部門、そしてその他のすべての部門にSisenseを全社導入しました。これによってSisenseは会社全体にとって、頼りになる定番のデータソフトウェアになりました。
今や各々の部署が、簡単に新しいデータを追加し、自動生成されたレポートにアクセスし、膨大な資料に目を通さずとも、1つの部門から他の部門に結果を送信することができます。
データは即座に更新されるため、不正確さは低減され、チーム全体が必要な時にいつでもデータを手に入れることができます。
一般的な小売業者にとってメリットとなるBI
小売業界が巨大産業であることは疑いようがありません。
売上げを伸ばして業界のトップになるために、業界の流れに遅れずついていき、システムや戦略を常に実践するのは容易なことではありません。しかしBIツールを利用すれば、重要なデータの収集と追跡を開始することができます。
営業部門だけでなく、すべての部署からデータを収集するのは、特にそのデータが複数の異なるソースから複数の異なるフォーマットで配信されている場合は、まさに物流上の悪夢です。
シンプルなBIツールを利用すれば、すべてのデータを1箇所にまとめることができ、トレンド、売上、および重要な情報を簡単にその場で追跡することができます。
小売業向けBIツールの主な利点
- カスタマー・エクスペリエンスの向上–
小売業界の競争が激化している今、顧客の期待値はこれまで以上に高くなっています。ブランドは、ショッピングプロセスのあらゆる段階で顧客をとどまらせ、楽しませる必要があります。 - 予測モデリング
最も成功している小売ビジネスは現在のデータを測定しているだけでなく、将来にも目を向けています。小売予測分析ツールを利用すれば、企業は現在のデータを他の関連する統計情報と組み合わせて新しい販売機会を捜し出し、今後のトレンドを特定して顧客が購入する可能性が最も高い商品のモデルを作成することが可能です。 - 価格の最適化
関連するビックデータにアクセスできるということは、現在の供給、需要、そして今後のトレンドに合わせて、ブランドがリアルタイムで価格を更新できることを意味します。
Fiverrのように、eコマースの領域で成功したい場合や、何の売れ行きがどの店舗で良いのかを測定したい場合、あるいは全社に渡って合理化されたデータマイニングプロセスを作成したい場合など、BIツールはさまざまなニーズの実現に役に立つでしょう。
この投稿に記載されているすべてのデータは情報提供のみを目的としており、正確ではありません。
本記事は、Sisense社の許諾のもと弊社独自で記事化しました。
https://www.sisense.com/blog/business-intelligence-case-study-retail-better-brand/
※ Sisense は、Sisense Inc の商標または登録商標です。
※ その他の会社名、製品名は各社の登録商標または商標です。
※ 記事の内容は記事公開時点での情報です。閲覧頂いた時点では異なる可能性がございます。
キーワード
注目の記事一覧
- SAP 生成AIアシスタント/コパイロット「Joule(ジュール)」
- データパイプラインと変換ロジックを定義するノーコード/プロコードアプローチ
- 行動を喚起するチャート3選
- データウェアハウスの近代化-QlikとTalendの活用
- AIリテラシー、データリテラシーの新しい波
月別記事一覧
- 2024年10月 (1)
- 2024年8月 (1)
- 2024年7月 (2)
- 2024年6月 (1)
- 2024年4月 (1)
- 2024年2月 (1)
- 2024年1月 (1)
- 2023年9月 (1)
- 2023年8月 (2)
- 2023年7月 (1)
- 2023年6月 (1)
- 2023年5月 (2)